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なぜスティーブン・ショアは滋賀なのか?

大津市の新興住宅地

コロナ禍には「不要不急の県境を越えての移動は避けるように」とよく言われた。顔出しでユーチューバーなぞやっている身分だと常に衆人環視下なので行動は気をつけなければならない。真面目に言いつけを守り、居住地の滋賀県大津市からなるべくはみ出さないよう暮らした。

さりとてカメラレビュー動画を主コンテンツとしている以上どこかでカメラを試写しなければならない=外に出つつも感染対策的に問題なく写真を撮らねばならない。大津市内を巡り人気(ひとけ)のない界隈を撮り歩くうちに「郊外」というひとつの方向性に達した。アンチ・クライマックスの何も起きない郊外で、ユルくChillい景観。となると参考になるのはやはりスティーブン・ショア様である。

写真集 スティーブン・ショア(Stephen Shore) 「Uncommon Places(アンコモンプレイシズ)」
写真集 スティーブン・ショア(Stephen Shore)「Uncommon Places(アンコモンプレイシズ)」

こないだショア様の代表作ともいえる写真集「Uncommon Places」を滋賀の友人に薦めたところ早速こんなことを呟いていた。

そう、敦賀にはスティーブン・ショアみがある。もともと「この写真集は滋賀県だよ」と言って薦めたのでその延長としての言葉なのだが(敦賀は福井県だが、滋賀県を縦断するJR新快速の終点でもある)、富山育ちの僕にしてみれば、これは富山だとも言える。

だいたい日本のどこでも──よほどの都会以外なら──それは当てはまると思う。新幹線に乗って埼玉県の大宮駅から北上していくとアンコモンプレイシズだらけである。東海道新幹線でも横浜を過ぎて富士山が見え始めるあたりは完全にそれ、いわゆる郊外の景色だ。

90年代の末に仕事で初めてロサンゼルス郊外を訪れた際、同行者たちは口々にここに住みたいと言っていた。しかし僕だけは「ここ富山と同じなんだけど」と口にしてひんしゅくを買っていた。

街の中心から離れればロードサイド店が建ち並び、巨大ショッピングモールまでハイウェイを何十kmもひた走る。いつまでも70〜80年代のような色の空。The 郊外!サバービア。ロス郊外でも富山でもいいじゃない。滋賀でも敦賀でも同じ、郊外はだいたいこう。

ショッピングモールにて

滋賀なんか今でもまだまだ宅地開発されて大阪・京都圏の拡大がなだれ込んでくるのだからスティーブン・ショアみが止まらない。ニューカラーでニュートポグラフィックスの最前線、それが滋賀だ。

特に大津などは天智天皇により一度は首都の座にすらついているものの、平安時代から現代に至るまで京都の衛星都市であり、モダンな都市機能の多くを京都に依存している郊外オブ郊外、いわば郊外のプロである。京都市滋賀区大津町と言ってもいい。ショアみあふれる場所、それが大津!

そんな土地柄だから自分なりのアンコモンプレイシズを探して撮り歩くにはうってつけ。琵琶湖、大自然、美しい風景写真の宝庫なんていう固定観念は捨てて、週末に街はずれをショア散歩してみては?

写真集 スティーブン・ショア(Stephen Shore) 「American Surfaces(アメリカン サーフェシズ)」
写真集 スティーブン・ショア アメリカン サーフェシズ Stephen Shore American Surfaces

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